↑この動画と同じ構成です。少しだけ文章の方が詳しく書いています。
前回までのあらすじ
消化管鬱滞を起こしたうさぎ・ごんたが、2021年5月31日朝10時に倒れた。
すぐにかかりつけの動物病院へ連絡、そして診察開始。
診療開始
ごんたはキャリーごと診察台の上に乗せられました。
休診日にもかかわらず、先生は診療してくれました。診察室ではまだ座れていました。この日は台に乗ると危ないので床で診察です。診察中のことはよく覚えていませんが、なんとか診察直後に書いたメモが以下です。
そして、かかりつけが休みの時の緊急連絡先を教えてもらいました。信頼している先生が教えてくれるところなら、何かあってもきっと大丈夫だと思いました。休日診療の件もありますが、常に何かの時に連絡先をきいておくと安心感が違います(休日診療してくれたのは、前日に診察してもらった時にあまりにも不安で、ダメ元でお願いしていたからです)。
帰宅、そして部屋のレイアウトを考える
病院から帰ると、もうごんたは座れなくなっていました。
うさぎさんは診察台の上で虚勢を張るのは本当だと実感しました。
ごんたは、眼振、斜頸、ローリング、旋回。前足が両方つっぱり、後ろ足が脱力していました。一度ケージに戻しましたが、空間がありすぎて発作が起きたときに危険なので、ケージを取り去ってキャリーをそのまま置きました。あまりにも広い空間は二次障害を招く可能性がありました(骨折など)。
ごんたの体はごんたの言うことをききませんでした。少し動くと足が突っ張り、キャリーのフタに顔面から激突しました。あまりにも激しくぶつかるので、キャリーのフタごと体が上空に弾け飛びました。そのときは、必ず強い眼振と強い斜頸を伴いました。あまりにも激しく体をぶつけるので、対策方法を聞いていました。主治医からはしっかりと足で掴める様に足元は金網のままが良い、と言われていました。ただ、今までブログやSNSで見てきた先輩たちは床面、壁面をタオルやクッションで全面覆う派が多かったので、私は混乱しました。とりあえず、主治医の言うことは忠実に守ろうとしました。幸いにも、ごんたはその後はあまり動こうとしませんでした。
最悪の夕ごはん
夕ごはんの時間。いつもと同じであること、を強要してしまいました。座れない状態なのに、いつものように座らせようとしました。自分で選びながら食べることができると思っていました。食べると言う動作は、少なからず体も頭も動きを伴います。そして、それは同時に全身のつっぱりを誘発し、眼振、斜頸を誘発することと同義でした。うさぎが動かなくても食べられる様に配慮すべきでした。特にごんたは下を向くことで、全身のつっぱりが酷くなる傾向がありました。頭の上下の運動が症状を誘発するため、縦抱っこもだめでした。
野菜はいつも葉っぱ側から食べていたので葉っぱ側から与えようと、口元に持っていきました。頭がブレるのでうまく口の中に入っていきません。ごんたにはきっと不本意ではあるけれど、茎側から食べてもらいました。あっちこちに皿の周りを移動しながら食べるのが好きで、このときも同じ様に移動してようとして発作が起きました。なかなか食べることができないので、抱っこをしてごはんを与えることにしました。
私もごんたもいつもと同じようにしたいと行動していました。
私もごんたも一食のご飯だけでかなり体力も気持ちも消耗していました。
地獄の一晩
夕ごはんを終える頃には症状が強くなっていました。
そして、夜が深くなるにつれて徐々に症状は悪化しました。日中に見せていた空中への意図しない大ジャンプは2分に1回はあったと思います。空中でうさぎを受け止めるのはこれが初めての体験でした。それは何度も何度も繰り返し起こり、一瞬も目が離せません。キャリーに入れておけないので、夜間はずっと抱っこをしました。何度も腕の中から飛び出しそうになり、何度も腕の中で回転していました。常夜灯の下でも分かるほど白目になり、眼振が強く出ていました。発作のたびに首がとれそうなほど捻れていました。
音、光、匂い、どの刺激に対しても発作が起こるようでした。まるで陸にあげられた魚みたいでした。ごんたも私も一睡もできません。薬が効いている様子は感じず、ただただ症状が悪化しているように見えました。ずっとこんな日が続くのかなぁ。
スタートラインに立つために
次の日も治る様子はなく、トイレに行く一瞬たりとも目も手も離せませんでした。発作が起きるたびに、心拍数は上がり、呼吸は荒くなり、とても苦しそうでした。ごんたは元々不整脈があるのでこのままいなくなってしまうのではないかと思いました。主治医の言った「死ぬかもしれない」という言葉が頭の中に反芻しました。寝ていないせいもあって何も考えられなくなっていました。このままだとあの言葉が本当になってしまう。
まずは二人とも体力の回復をしたいので、しっかり眠りたい。
そのために何をすればいい?
答えは簡単でした。
うさぎが安定した姿勢を探すこと。眼振やローリング、旋回が起きても大丈夫な姿勢。
では、ごんたが魚みたいに暴れちゃうのを止めるには?
これも答えは簡単でした。
刺激があると勝手に足が伸びてジャンプしてしまう。刺激がない状況を作り出すのは不可能。なら、足をどこにも接地させないのはどうだろう。
そのまま足をつけないようにポジショニングを行なって、ごんたも私もそこから4時間近く眠れました。ごんたの起きた時の表情はとても晴れやかでした。ようやく加療のスタートラインに立てました。
さらなる問題の解決へ
頭が少し休まったおかげで、冷静に考えることができるようになりました。
今のままで安静にはできたけど、今度は褥瘡(床ズレ)の危険がありました。同じところばかりが圧迫されないように、姿勢の向きを変えることにしました。反対向きにさせると、ごんたの息は荒くなり、苦しそうになりました。調べてみるとこのようなうさぎさんもいるそうです。そのため、反対向きは諦めて、角度だけをタオルで調整し、あとは私が抱っこすることにしました。
冷静になると見える世界が広がる
一般的なうさぎの飼い方に固執していた私。
元気な時のごんたと病気のごんたは同じだと考えていた私。
ごんたを苦しめていたのは、Ezではなく、私でした。
ごんたのことをちゃんと観察していれば、ごんたの求めていることなんてすぐ分かるのに。
発症当日から安楽に快適に過ごせることができたのに、一晩も苦しめてしまった。
私は、とても悲しかった。
ごんたがこの病気になる前に学んでいたことを思い出しました。
「Ezでの死亡率は低い。付随した病気で死ぬことの方が多い。」
そう、ごんたはお腹が痛かった。まずはお腹をなんとかしなければ…
冷静になれば簡単なこと。
お腹を働かせるのは整腸剤もあるけど、まずは食べること。
ごはんは体力温存のためにキャリーで食べさせました。ペレットを食べにくそうにしていたので、元気な時は一切口にしなかったふやかしペレットにしました。美味しそうに食べました。
私はもう前を向いていける。
発症してからごんたに「大丈夫だよ」って何度も連呼したけど、
今は本当に心から「大丈夫だよ」って言えます。
まとめ
1、うさ飼いとしての固定概念をなくす
(一般的なうさぎとしてあるべき生活は、病気のうさぎと暮らす上では役に立たない)
2、よく観察する
(日頃からの観察も必要だが、元気な時と同じに考えてはならない。
全てはこの瞬間のうさぎが本物である)
3、安定した姿勢を探す
(時にはうさぎらしくない姿勢になるが、1が達成されていれば受け入れられる)
4、悲しむのは後でもできる