エンセファリトゾーン症になったうさぎ〜5病日目

rabbit

↑この記事は上記の動画を元に作成しております。

あらすじ

 2021年5月31日にエンセファリトゾーン症を発症したうさぎのごんた。急性期リハビリをすぐに開始。昨日から歩行訓練を始めた。飼い主が休みの1週間の間に目標である「半日留守番ができる」が達成できるのか。

留守番をするために必要なこと

・少しでも体動ができる(褥瘡予防のため)
・自分で水分補給ができる
・自分で草を食べられる

今日のリハビリ

 朝。
 あらゆる方向から動画を撮影し、動きをチェックしました。左右を比べるのはもちろん、元気だった頃の動画と合わせて、動きを確認します。右後ろ足の動きが明らかに悪い。今日も座ることも立つこともできない。頭をあげる動きは多少良くなっている。
 昨日のリハビリの成果がどれだけ残っているかも確認しました。

 リハビリを行う時は患者さん自身の「治りたい」という気持ちを引き出すことが非常に重要です。うさぎさんは人間と同じように「障害受容」があるのかは分かりませんが、とにかく自分で動こうという意志が大事です。
 そう思ってごんたを観察すると、どうやらごんたはリハビリ意欲が高いということが分かりました。介助してあげると自分で歩こうとバタバタしてみたり、お腹とお尻を支えて歩かせようとすると、不自由ながらもちゃんとうさぎさんらしい歩き方をしようとしていました。
 でも、すぐに疲れて横になってしまいます。それでも、頭を少しあげられるようになりました。右側臥位から正中へ。キープできないから何度もタッピングして起きるように促します。頭をあげるには首の筋肉だけを鍛えればいいというわけではありません。頭を動かすために固定する体幹の筋肉も必要。前足でそれを支えるふんばる力も必要です。体は運動連鎖で成り立っています。一箇所を鍛えればいいわけではなく、動く場所と固定する場所とそれを繋ぐ場所の連鎖が重要です。ごんたは「失調」という症状が出ているので、この運動連鎖が断たれてしまっていると言ってもいいでしょう。一つ一つの筋肉のコントロールがうまく行かないのです。本来なら無意識でコントロールできるものが出来ない状態です。このコントロールを再教育するためには地道な正しい動きの反復が必要です。

 脳卒中後の患者様でもそうですが、脳の病気後は易疲労性です。というのも、脳の神経がやられて別の回路を作るのがリハビリの主です。いままで元気な時は1パワーの電気信号で良かったものが、別回路を作るために10パワーや20パワー、100パワーくらいの電気信号を送らないといけなくなるのです。また、パワーを上げただけでは動かないことさえも容易に起こり得るのです。想像しただけでも疲れます。

 しかし、ごんたは昨日よりも正中での伏せのポーズが上手になりました。すぐに疲れてしまうけど、いい姿勢を作ってあげれば保てる時間が増えてきました。毎日少しずつできることが増えていく、昨日できたことが今日はできなくなるかもしれないけど、それでも体の使い方を再学習していかなければなりません。しばらく自分でグルーミングしていなかったので、ごんたの体から不思議な匂いがしていました(嫌いな匂いではないですが、敵に見つかりそうな感じ)。ごんたは自分でグルーミングできないのでブラシをかけてあげました。本当は自分でやりたいから、一緒に空中をベロベロしてくれます。まったく体に届いておらず、思わず笑ってしまいました。はっきり言って、超絶可愛かったです。

 ごんたは放っておくとずっと右側に倒れています。右側が麻痺しているので、うまく起き上がれません。転ぶ時も必ず右側です。右側を下にして横になっている時は「もうだめだ」みたいな顔をしています。少しやる気をださせるために、おやつで釣ります。気がついておやつを食べようと頭を上げてくれました。おやつを食べようとするけど、失調のせいでぐらぐらしていて、なかなかおやつを口に含むことができません。ごんたが食欲に貪欲なうさぎさんで良かったです。普通ならもういいやって諦めてると思います。

 また、ごんたは水をあまり飲みたがらなくなりました。シリンジで強制的に飲ませることも可能でしたが、昨日の時点でお皿を口元に近づければ飲めることが判明しています。ぜひとも留守番のために自分で飲む方向へシフトしていきたいと思いました。自分でできることは自分でやるのが基本です。しかし、口元に近づけても嫌々、としてしまいまったく飲もうとしません。普段の飲水量から比べるとかなり少なくなっていて、この日は24mlしか飲んでいませんでした(元気な時は120ml程度飲んでいました)。仕方がないので、ごんたが飲みやすいようにアクアライトを添加します。シリンジも継続して使うことにするのと、野菜を多めに与えることにして乗り切れるか。ごはんは引き続き、姿勢が安定するキャリーの中で食べさせました。

 夕方。
 お腹とお尻を支えながら、歩行練習。ホッピングでどこをさわれば前に行ってくれるのか知っていたので、心からやっていて良かったと思いました。朝よりも足の動きや運びが良くなっていました。筋緊張の異常があるので、関節を十分に動かしてあげました。同じような動きを最小限しかしていないので、最終域まで動かせるように大きな動きをスムーズにできるようにしてあげました。
 頭を目的のところまで動かす練習をしました。もちろん、おやつで目的の場所を示してあげます。少し高いところ、少し遠いところ、少し低いところ。ごんたの頭はゆれます。時間をかければ何とか口に入れられるようになりました。うさぎの口は小さくて可愛いのに、こんなときは大きければいいのにと思ってしまいます。少し遠い場所ができるようになれば、留守番の時にペレットや水や牧草が遠くにあっても首を伸ばして自分で取ることが可能になります。絶対に習得させたいと思っていました。

 夕ごはん。
 まだキャリーで食べさせます。野菜とペレットを頭や体の近くに置きました。お腹の調子も改善してきているようです。野菜はしっかりと食べてくれるようになりましたが、ペレットは半量しか食べられません半量だけなのに完食するのに1時間かかりました。そして、たまにぼーっとしています。エンセの症状だろうと思いました。23時になってもおしっこをしないので、まさかと思ってトイレに連れて行ってみました。トイレに乗るとすぐに、とっても濃いのをしました。帰り際にこうたの部屋の前を通りかかるとスプレーもしました。ごんたは、もしかしたらキャリーでおしっこするのが嫌で我慢しているのではないか?という疑問が浮かびました。今度はキャリーから出す時はトイレ誘導をしてみようと思います。

 夜のリハビリ。
 引き続き、歩行練習。だんだん後ろ足の動きが良くなってきていました。畳の方に行こうとするので連れて行ったら、案の定、立てもしません。畳で足が滑りまくりました。この日以降、ごんたが畳の部屋に自分から行こうとすることがなくなりました。
 右横向きから起き上がる練習。できないと思ってか全くやる気がありません。少しだけ段差を作って自分で起き上がらないと落ちてしまうような状況を作りました。スパルタです。ごんたは落ちたくないので、必死で起きあがろうとしていました。少し可哀想な部分もありますが、やる気がないなら、やる気にさせる環境を作るのがベストです。
 無事に今日の分のリハビリを終えました。毎日少しずつ動けるようになってきたことと薬のおかげか激しい発作が出てこなくなってきました。そのため、キャリーの中のクッションを少しよけて、ごんたが動ける範囲を増やしてあげました。少しずつ留守番ができるように整ってきました。

まとめ

 留守番をするために、飲水量の確保をどのようにして行わせるのかがポイントになってきました。現在のままだと、数時間おきにシリンジで水を与えていたものが、半日で一回の給水に変わるということです。また、ごんた自身が水分量をとらずにおしっこの量を減らそうという意思も感じるので、体調が悪くなりそうな気配しかしません。ごんたが納得する形で、水の問題を解決していこうと思います。