ペットが亡くなった日

rabbit

あらすじ

 2016年6月25日生まれで、その2ヶ月後わが家にきたうさぎのごんた。私の最初の家族であり、大好きなうさぎさんでした。2018年からは新しい家族こうたを迎え、喧嘩はありながらも少しずつ仲を深めていきました。2021年5月31日にエンセファリトゾーン症を発症。その後、何度か再発疑いはあったものの、後遺症にもめげず、毎日楽しく暮らしていました。

本編

 うさぎのごんたが2022年9月3日に亡くなりました。
 その日はとても天気の良い日で、私は昼間にピーターラビットの誕生日会に行きました。朝はいつもどおり、ごんたとこうたは並んで朝ごはんを食べました。

 18時40分頃に帰宅すると、なんとなく元気のないごんたがいました。お腹が痛いのかなぁと思いつつも、まだ大丈夫な痛さなのだと行動から判断しました。ケージから出すと、自分で歩いて窓際まで行き、スフィンクス状態になっていました。

 20時頃、いつもの時間の晩ごはん。その日はごんたの大好きなホワイトセロリを買ってきていたので、多少お腹が痛いくらいなら食べてくれるだろうと思っていました。期待は虚しく、ごんたは一切口をつけませんでした。常備薬を飲ませるために、お腹の張り具合を確かめました。胃拡張や腸閉塞は、胃内に何かを入れると破裂し、死に至るために念入りに確認しました。いつも触っているくらいのお腹の張りだったため、20時20分に投薬。薬の投与のために体を持ち上げたので、お尻周りも確認しました。未形成の糞がべったりとついていたので、キレイにブラシをかけました。
 牧草と水の減り具合を確認しましたが、いつもと同じ減り具合でした。糞も出ていないわけではなさそうです。低体温にもなっていませんでした。状況から見るに、ずっと痛かったわけではなさそうです。ケージの方が休めるかと思い、ごんたをケージに移動させました。

 20時50分、ごんたが横になりました。
 いつもなら朝まで待ってかかりつけの病院へ行くことにしたでしょう。しかし、この日は絶対に朝までもたない、と思いました。ごんたにどういう変化があって、もたないと判断したのかは私にも分かりません。とにかく救急病院に行かなければと思いました。

 こんな時間でしたが、一旦かかりつけ医に電話。いない。
 かかりつけから聞いていた救急センターに電話。うさぎの専門医がいないから違うところの方がいい、と言われました。
 近くのうさぎ専門医に電話。救急対応中で10分後に折り返すとアナウンス。
 もう一軒、うさぎの専門医に電話。呼び出し音。

 その時、以前エンセファリトゾーン症を発症した時のように、足をバタバタさせて、強いローリングと頭がちぎれそうな程の斜頸が出現しました。ケージの中で危なかったので、私はすぐに抱きかかえて「大丈夫だよ」と何度も言いました。抱きかかえた時には、すでに両方の後ろ足が麻痺しているようにぐらぐらになっていました。
 専門医がいなくてもいい、もう一度救急センターに電話をかけてみてもらおうとごんたを膝の上に乗せました。乗せるとすぐにさっき飲ませた薬(と思われるもの)を吐いて、またごんたを抱きかかえたら、頭が強くのけぞって、なんとも言えない小さな鳴き声が聞こえて、そのまま体がだらんだらんになって、急に重たくなりました。

 それが21時20分でした。

 私はもう死んじゃったと思いましたが、何度も何度もごんたの名前を呼びました。体をそっと床に置いて、必死に呼吸音と心音を確かめようと耳をくっつけました。それまで毎日毎日私はごんたに耳をくっつけて呼吸と心音を聞いていたのですが、この時はもうどこに耳を当てても何も聞こえませんでした。
 私はパニックになっていました。救急センターに泣きながら電話をかけて「死んじゃったら何もなくなると思うけど、どうやって呼吸音と心音を確かめますか?」と訊いていました。

これが、あの日起こった出来事でした。

余談

 体がだらんだらんになった後、床にごんたを寝かせました。
 ごんたを寝かせるとこうたがすぐにやってきて、心配そうにくんくんしたり、うろうろしていました。私はそれを「もうあっちにいって!」と強く言ってしまいました。こうたはビックリして離れていきましたが、私はあのときに大事な何かを失った気がしました。

 こうたにとっても大事な家族であったごんた。それのに私はなんてことをしてしまったんだろう。

余談2

 私のこの日の出来事をかかりつけ医に報告しました。なんで死んじゃったのか訊いてみたかったのです。しかし、診察していないものに対しては何も言わないだろうと思っていました。その通りでした。

 私はあの日のことを、ごんたの死因について考えています。
 今の結論としては、『お腹が痛い(お腹の張りがないため、腸閉塞・胃拡張ではなかった)→エンセファリトゾーン症の再発(後躯麻痺、眼振、ローリング)→てんかん大発作(エンセの症状・延髄まで寄生の可能性)→心機能・呼吸機能の低下(薬の嘔吐)→アドレナリンショック→死亡』かもしれないと思っています。
 もう少し時間が経ったら、もっとしっくりくる死因が浮かんでくるかもしれません。